経産省の山田課長補佐、ただいま育休中

経産省の山田課長補佐、ただいま育休中

経産省のキャリア官僚である筆者が1年間の育休を取った。勇気ある決断だったと思う。

筆者が書いているように、キャリア官僚の間では、仕事に対し「無制限・無定量」で臨むべき、
という倫理観が残っている。(私の友人も数人、過労死が心配なほど働いている)

私が昔働いていた職場(省庁ではないが)でも、仕事に対し「無制限・無定量」で臨むべきという価値観は非常に強く存在していた。
奥さんは専業主婦で子供を育てるというのがごく当り前のこととされていた。

ある先輩が別の会社の総合職の女性と結婚し子供が生まれ、「共稼ぎ+子育て」に挑戦していたが両立できず、結局転職していったことがあった。(上司の目は冷たかったな。。。先輩にとっては良い選択だったと思う)
私が転職を決めた理由の一部(メインの理由ではないが)も、育児など家族と作り上げていく時間を犠牲にしてまで仕事一色に自分の時間を染め上げるのが果して自分の価値観に合っているのか、ということだった。


これも筆者が書いていることだが、我々の世代の共稼ぎ夫婦の多くは、女性も男性も普通に仕事も子育てもしたいと考えている。
労働力人口が減りつつある現在、会社としても仕事と子育てを両立しやすい職場にしていかないと、優秀な人材の確保ができなくなるだろう。


さて、内容だが、同世代の男性諸氏の中では子育てに参加している(つもりの)私としては、
「うんうん、そうだよな〜」と共感するところがほとんど。
・初めのうち、保育園に顔をだした時の「自分は場違いなところに来ているのではないか」というような気持ち
・初めての子が病気になったときの焦りと、後から生まれた子が病気になったときの落ち着き

などに同感したり、一方で、初めて子供が生まれたときに社会から隔絶された妻が「プチうつ」になっていたのを思い出し、もう少しフォローできなかったかなどと申し訳ない気持ちになったりした。
ユーモアに溢れた書きっぷりが素晴らしい。


最後に書かれている政策提言にも全面的に賛成。
・何に使われてもわからない児童手当よりも、実際に子育てに使った費用を幅広く所得控除(小さい政府にもつながる)
・病児保育の拡充
・子育て世代のための広い住居の手当て、優先入居
などは是非そうしていただきたいし、認可保育園と無認可保育園の格差是正も必要だろう。


子育て中のパパやママ、これから子供を産むことを考えている男性女性、
小さい子供を持つ部下がいる上司の方々、人事関係の仕事についている人々、
少子化対策を検討している政治家、官僚の方々・・。
これら全員に読んでほしい1冊。
☆☆☆☆☆(星5つ)


今働いている会社も、育休を取りやすい風土に変えていかなくちゃ、ね。