NASAより宇宙に近い町工場

「ニッチ(すきま)をねらえ」とよくいわれますが、ニッチというものは「見つける」ものではありません。ニッチは自分でつくるものです。誰かがつくったニッチは、その誰かのもの。だから、自分でつくらなければいけません。
そのためには自分でやって、苦しいことを見つけて改善すればいいんです。そして、従来の製品との正面勝負を避ければいいんです。
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もともと企業というものは、「よりよく」を追求するのが務めです。社会が「よりよく」を求めなくなると、企業にとって「よりよく」を追求し提供することが意味を失ってしまいます。そして、今の社会は「よりよく」ではなく「安い」と「早い」しか求めない社会ですから、企業は「安い」と「早い」という消費者への迎合しかできなくなってしまいました。そして「安い」「早い」だけなら、賃金が日本の一〇分の一の中国に負けるのは当たり前のことです。
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〇から一を生み出す仕事をするためにはどんな人たちが必要なのかというと、頭がいい人でも高学歴の人でもありません。「やったことのないことをやりたがる人」です。「あきらめない人」です。「工夫をする人」です。
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楽をすると「無能」にしかなれません。なぜなら楽をするということは、他の人がする経験を避けて通るということだからです。能力というものは、経験しなければ身につかないからです。経験をしなければ能力はなくなります。
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「不景気だ。仕事がない」と言うのは簡単ですが、仕事がないということは時間が余っているということですから、これは新しいことを始めるチャンスでしかありません。
暇だったら勉強すればいいんです。腕組んで待っていたってしょうがありません。暇というのは、実は大事なことです。ギリシア語で暇を「スコーレ」といって、これがスクールの語源だそうです。つまり、暇というのは学ぶべき時間なんです。ギリシア人は、暇というものから学校をつくりだしたそうです。だから、暇なら学べばいいんです。
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最低限やらなければならないことだけを全力でやってしまうと、最低限の人間にしかなれません。最低限やらなければならないことは、さっさと終わらせるべきなのです。
・・・同じように、手加減をして給料分の仕事しかしていないと、本当に給料分の人間になります。「俺は正しく評価されていないな、俺の給料は安いな、だからこのへんで手を抜いておこう、これ以上のことをする必要はないだろう」と考える人は、その給料通りの輝きしか持たなくなります。
・・・その職場という環境を生かして学べることを徹底的に学ぶんです。
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