[本・映画]日本はなぜ敗れるのか

日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)

以前読んだ「虜人日記」
同じような体験をした山本七平氏が「虜人日記」を読み、自分の体験を踏まえ「虜人日記」に考察・解説を加えた書。

「虜人日記」に記されている敗因二十一ヶ条には、「バアーシー海峡の損害と、戦意喪失」など兵士として現地へ行った者しか体感としてわからないようなものもあるのだが、山本氏の解説を読んで実に腑に落ちた。

制海権・制空権の全くない、潜水艦が日常的に出没する海へ、船にすし詰めにした兵士たちを次々に送り出す。
次から次へと沈められるので、廃船間近のオンボロ船まで使って送る。
当然ながらまた沈められる。
幸運にも目的地へ到達すると、兵器も食料もない。
戦闘どころか食料調達に躍起になり、餓死したり友軍を襲ったり。

それなのに食料を生産する農民をどんどん徴兵してまた船に乗せる。


誰もが薄々、いやかなり確信をもって気づいているにもかかわらず、名目・建前が優先され是正されない。
おかしいことをおかしいと言えば非国民呼ばわり。

戦争最後の2年間で失った命の多くは、当時の指導層が現実を見て行動すれば落とす必要のない命だったのだはないだろうか。。。


他にもなぜアメリカに対して反感を持っていたフィリピン人が、日本の支配下に入ると時をおかずして反日になってしまったかなど、説得力のある考察が多い。
失敗から学ぶのが次に失敗しないための最良の方法だと聞いたことがあるが、であればこの書は最高の教材だ。