グーグル、ディズニーよりも働きたい「教室」

集団を引っ張っていくのではなく、目標を設定、共有してその集団をまとめられるかどうかというのもリーダーシップだ。
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ビジネスで成功するのは鉄板の成功法則を持っている人ではなく、その都度、状況に合わせて課題を見つけ、それを解決に導くことができる人だ。
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答えを自分で見つけると納得感が違う。教師は教えるのではなく、生徒が自分で答えを見つける手伝いをしてあげる。
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最初は2年がかりで勉強を教えるつもりでいたのに、最初の1年は目標を見つけるために費やすこととなり、予定は大幅に狂った。しかし、目標に向かう意欲があれば、遅れはいくらでも取り返せる。いつから勉強を始めるのかということより、何のために勉強するのかという目的意識のほうが、ずっと大事だ。
(70〜71ページ)

時間の余裕は、心の余裕だ。目の前の仕事に忙殺されて、自分を成長させることをあきらめた先生が生れてもしょうがないのか・・・。
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学校の授業は、生徒が大人数で、暗記中心、板書中心。このスタイルは50年も前から変わっていない。このまま、生徒たちをいい大学へ送り込むだけの授業でいいのだろうか。これから生きていくうえで、子どもたちに必要な教育は、暗記で覚える知識ではないだろう、とも思っていた。自分自身のアタマで物事を考え、他人と問題を共有してうまくやっていけるような、リーダーシップやコミュニケーション、課題解決などの能力だ。暗記の知識はパソコンさえあればすぐに調べられるのだ。
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日本の大学の授業は、理論を学ぶ場。だからとくに予習をしなくても、授業の中でテキストを読みこなしていけばいい。
一方、アメリカの授業は、発表や議論を通じて知識や経験を共有する場になっている。発表や議論をするためには理論を知っておく必要があるが、授業では理論を教えない。理論は各自が事前に予習をすることが前提になっていて、何も予習せずに授業に臨むと、ちんぷんかんぷんでついていけないのだ。
きちんと予習をして授業を理解できても、それだけでは通用しない。事前にインプットした理論は、授業でアウトプットして初めて身につく。授業で重視されるのは、どれだけ他の人にインパクトを与えたか。自ら手を挙げて意見を言わなくては存在価値を認められない。そして授業でそれだけの発言をするためには、内容についていける以上の予習が必要になる。
(100〜101ページ)

学習指導要領の存在も非常に素晴らしい。日本にはこれがあるからこそ、どこへ転校しても混乱が少ないし、基本的な学習の支えになっていると思う。
(107ページ)

いちばん最初にリスクを取って飛び込む勇気のある人というのは、とても優れた人材であることが多い。
(130ページ)

現在、日本全国で就学援助の対象となっている児童・生徒は155万人以上(2010年度文部科学省調査)。これは児童・生徒全体の15%以上で、6〜7人に1人が援助を受けている計算になる。35人学級なら、クラスに5人以上は援助なしに学校生活ができない子どもがいる。これが今の日本の現実だ。
(147ページ)

OECDの調査によると、日本の公財政教育支出の対GDP比は3.6%で、一般政府総支出に占める割合も8.9%しかない(2009年)。いずれもOECD平均の対GDP比5.4%、一般政府総支出比13.0%を大きく下回っている。
日本の場合、私費負担が公的投資の少なさを補っているが、私費負担の割合が高くなるほど、所得格差が子どもの学力に大きく影響することになる。貧困から子どもを救うには、公的支出を増やすべきなのだ。
(154ページ)

仕事の面白さややりがい、つまり「モチベーション3.0」だ。
・・・モチベーション3.0のマネジメントには裁量を与えたり、成長を実感させることが大事だといわれているが、僕が重視しているのは「達成感」と「仲間意識」だ。
(167ページ)

NPOをやっていると、自分たちは正しいことをやっているのだから理解してくれないほうが悪いという思考に陥りがちだ。しかし、独善的な姿勢ではまわりの協力を得られない。寄付集めや受け入れ先の開拓は、一般企業の営業活動と同じ。
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事業をやろうとすると、それを成功させることで頭がいっぱいになり、本来の目的が置き去りにされてしまうことがある。その危険性をよく知っているお二人は、僕がブレないように何度も本来の目的を確認してくれたのだ。
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