東京大学応援部物語
母校の大学に応援指導部という応援団があり、知り合いも入っていた。
遠くに先輩の姿を認めると直立不動で大声で挨拶。先輩には絶対服従。学ランを着ての連日の猛練習は良いとしても、ちょくちょく学内で一升瓶を抱えながら酔いつぶれている、いや、どう見てもつぶされているとしか思えない姿。
体育会系の上下関係が大の苦手だった私には全く理解できない存在だった。
この本の主役たちは東大の応援部。
なかなか勝つことのできない野球部を応援し続けるという意味で、各校の応援部の中でもひときわ理解しがたい存在だった。
封建的体質の中、時には応援や練習のために授業にも出席できず、様々な葛藤に悩みながら生きていく学生達。
その悩んでいる横顔や、なかなか勝てないからこそ1勝したときに得ることのできる感動、
「応援される人間よりも鍛錬して初めて応援する資格がある」
という言葉などに、初めて彼らを身近な存在として感じることができた。(これまではエイリアンと同じくらい理解しがたかったのだ)
ただし、巻末を読むとその後どの大学でも応援部は人数が集まらず組織としての存続が難しくなっているとのこと。
これもまた仕方のないことと思ってしまう。