ローマ人の物語14 パクス・ロマーナ(上)

オクタヴィアヌスは、手段ではちがっても目的では、完全にカエサルと考えを一にしていた。国家ローマは、領土拡張の時代から領土維持の時代に入ったとする認識である。
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何ごとであれ新しいことをはじめる場合の基本姿勢は、現状の正確な把握にあるのは当然だ。(国勢調査について)
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マキャヴェッリが言うように、「新しい政策を断行しなければならない場合は、人々に考え批判する時間を与えないよう次々と行うべきである」
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常設軍ともなれば、可能なかぎり少ない経費で最大の効果をあげる組織に作らなければ、国の経済力がそれに耐えきれなくなる。
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カエサルは、征服された民族が反旗をひるがえすのは、民衆が自主的に蜂起するからではなく、民族の支配層が民衆を扇動するからであることを知っていた。そして、支配層が不満をもつのは、他国民に征服された結果、自分たちの権威と権力が失われるからであるのも知っていた。
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紀元前の末期、つまり帝国の初期という時期にこの通貨制度の改革を断行したアウグストゥスの目的はただ一つ、強力で信頼置ける基軸通貨の確立と、それによる帝国全域の経済の活性化にあった。
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経済人ならば政治を理解しないでも成功できるが、政治家は絶対に経済がわかっていなければならない
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