ローマ人の物語38 キリストの勝利(上)

パクス・ロマーナ」(ローマによる平和)の終焉は、広域経済圏の終焉でもあったのだ。帝国の端々にまで張りめぐらされていた交通網は各地で断ち切られたままであったし、たび重なる蛮族や盗賊の襲撃は運送費の高騰をもたらしていた。
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トップ会談の常で、真の交渉は舞台裏で行われる。
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自分に自信をもつ人だけが、他者に対しても公正になれるのである。
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いかなる場合にも責任は、指令を出した側に帰されるのである。
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一神教の本質そのものが、排他性にあるからだろう。
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日本語では社会基盤、社会資本、下部構造等々と訳されるインフラストラクチャーとは、個人の力の限界を超えることだから国家なり地方自治体が代わって行う、ローマ人の言葉を使えば、「人間が人間らしい生活をおくるために必要な大事業」なのである。
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陰謀渦巻く中で生きていくには、意外にも、狡く立ち回るよりも堂々と正面突破するほうが、効果ある場合が多い。
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絶対専制下での弊害の一つが、主君の意を臣下が勝手に推し測ることなのである。
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できないと思いこんでいたことさえもできる、という自覚ほど、若者に喜びをもたらし自信を与えることもない。高揚とは、精神が高まることである。経験量の少ない若者には、というにこれが起こりやすい。できないと思っていたことができ、しかもそれが人々を幸せにすることにつながるとわかったとき、その人は、これこそが自分にとっての氏名、と思うのではないだろうか。
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