海の都の物語(1)
理解と行動は、そうそう簡単には結び付かないものである。
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国家は、陸地型の国家と海洋型の国家に大別されると、誰もが言う。私には、この二つのタイプのちがいは、自給自足の概念のあるなしによって決めてもかまわないのではないかとさえ思われる。
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近くの味方は、しばしば近くの敵よりも始末が悪い。
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現実主義は、人間の理性に訴えるしかないものであるところから、理性によって判断をくだせる人は常に少数でしかないために、大衆を動員するにはあまり適した主義とは言えない。マキアヴェッリの言葉に、次の一句がある。
「ある事業が成功するかしないかは、その事業に人々を駆り立てるなにかが、あるかないかにかかっている」
つまり、感性に訴えることが重要なのである。
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中世の奴隷は、ヨーロッパからアフリカへ流れていたのである。
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北アフリカのイスラム教徒に奴隷と木材を売り、金や銀で支払いを受けたヴェネツィア商人は、その”外貨”を持ってコンスタンティノープルへ行く。そして、そこで、必要不可欠な品ではないが西ヨーロッパ人が最も欲しがる、奢侈品を買い求めるのである。
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少なくとも十三世紀までは、文化の程度は、断然、ヨーロッパよりもオリエントのほうが進んでいた。
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はじめに立てた計画を着実に実行するだけならば、特別な才能は必要ではない。だが、予定していなかった事態に直面させられた時、それを十二分に活用するには、特別に優れた能力を必要とする。
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