ローマ人の物語7 勝者の混迷(下)

権力に執着しない潔い行為と、大衆が拍手喝采するのは勝手であり、それによる利益も少なくない。
理を理解する人が常にマイノリティである人間世界では、改革を定着させるにはしばしば、手段を選んではいられないからである。
(72〜73ページ)

兵士たちが夏の砂漠や冬の山脈の行軍を耐えるには、何らかのやり方でそれを納得させる必要がある。だが、ルクルスは、この種の「コミュニケート」の重要性を知らなかった。・・・兵士たちが疎外されていると感じたのでは、良い結果を得ることはできない。優秀なルクルスには、自分にまかせておけば良い結果につながるという地震が強すぎたために、兵士たちを積極的な参加者に変えるに必要な、心の通い合いの大切さに気づかなかったのであった。
(152〜153ページ)