ローマ人の物語30 終わりの始まり(中)

立派な人物ならば仕事面でも立派な業績をあげると思いたいところだが、現実はそう甘くない。だからこそ歴史を読むと、愉しいと同時に哀しくもなるのだと思う。 (カバーの銀貨について)(トライアヌスの円柱とマルクス・アウレリウスの円柱を比較して)パト…

ローマ人の物語29 終わりの始まり(上)

人間には、他者を押しのけたり排除したりまでして昇進することが、死んでもできない人がいる。 (43ページ)自己中心主義者のほうがかえって、徹頭徹尾誠実である人の効用には敏感なものなのである。 (43ページ)「頭」と「手足」がともに想いを共有し…

ロスジェネの逆襲

仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。 (367ページ)

親子ランニングレッスン

微熱をおして、EXILEのトレーナーをしている吉田さんのランニングレッスンに息子と参加。4倍近くの倍率だったらしい。 西新宿のコズミックセンター小体育館にて。 短距離では体幹の安定と柔軟性が大事ということで、最初にストレッチと体幹トレーニング。 …

ローマ人の物語28 すべての道はローマに通ず(下)

インフラとは、需要があるからやるものではなく、需要を喚起するためにやることであるのかもしれない。 (22ページ)同胞に選択肢を複数もつことの有利を教えたということでも、「アッピア街道」と「アッピア水道」の建設は、ローマの歴史を画する大事業に…

知の武装

最近の日本外交は、旧大日本帝国陸軍の悪しき伝統を引き継いでいるようで、目標を明確に設定しようとしない傾向が強いですね。目標も設定しないまま、ただただ「一生懸命やっています」と姿勢ばかりを強調する。その評価を、計画を企画・立案した人がするわ…

ローマ人の物語27 すべての道はローマに通ず(上)

敷石のふちが丸くすり減っているのは、ローマ帝国が衰退しはじめて以後の長い歳月にわたる、メンテナンスの欠如による減少であることがわかるはずだ。そして、メンテナンスの欠如とは、それを担当していた組織が機能しなくなるから生ずる現象であり、国家が…

ローマ人の物語26 賢帝の世紀(下)

被統治者が贈りたいと思うものを受けるのも、統治上の一策なのである。 (24ページ)(ハドリアヌスが人質であったパルティアの王女を返還したことをうけ)外交も戦闘に似て、相手側が予想もしなかった戦術で攻めたときに勝つ。つまり、最も大きな効果を産…

ローマ人の物語25 賢帝の世紀(中)

君主ないしリーダーのモラルと、個人のモラルはちがうのである。一私人ならば、誠実、正直、実直、清廉は、立派に徳でありえる。だが、公人となると、しかも公人のうちでも最高責任者となると、これらの徳を守りきれるとはかぎらない。ラテン語では同じく「…

紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

「目標が達成できるか否かはリーダー次第。リーダーが二年といえば二年。三年といえば三年。そして半年と言えば半年です。現場の話を物わかりよく聞いていたら、三年あっても復興工事なんて終らない」 (110ページ)

ローマ人の物語24 賢帝の世紀(上)

女とは、同性の美貌や富には羨望や嫉妬を感じても、教養や頭の良さには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ。 (61ページ)空洞化とは、まず第一に人間の数の減少からはじまるのだから。 (82ページ)人間とは、身銭を切って投資してこそ、投資…

ローマ人の物語23 危機と克服(下)

報復とはしばしば、理性ではなく感情の所産であることを忘れるわけにはいかないのである。 (61ページ)自治は認められても財源を伴わないのでは、自治の権利とて行使しようがない。 (104ページ)機能的で公正な税制は善政の根幹であり、これを、安全…

ローマ人の物語22 危機と克服(中)

合理的思考と文明度は、比例の関係にあるのかもしれない。 (25ページ)目的のためには手段は選ばず、とは、マキアヴェッリでも言っていない。マキアヴェッリは、目的のためには有効ならば手段を選ぶ必要はない、と説いたのである。 (31ページ)敬意と…

ローマ人の物語21 危機と克服(上)

もはや坂をころげ落ちるばかりのローマ帝国を書いていて思うのは、中間と下部がダメになったら、いかに上部ががんばろうと何をやろうとダメ、ということである。反対に、中と下の層が充分に機能していれば、少しばかりの間ならば上層部の抗争で生れた弊害も…

ローマ人の物語20 悪名高き皇帝たち(四)

敗者復活を容認する国家は、健全に機能する国家でもある。ローマには、それがあった。 (47ページ)権力をもてば、それがどのようなたぐいの権力であろうと、権力をもたない側からの非難を浴びずにはすまない。しかも権力者への非難とは、なぜかその権力者…

ローマ人の物語19 悪名高き皇帝たち(三)

ピアノのコンクールでは、審査員は有名なピアニストが担当する。いかに音楽を愛していても、単なる愛好家には、票を投ずることは許されていない。それなのに政治となると、選挙では誰でもが一票を投ずる資格をもつとされている。でないと、反民主的と非難さ…

ローマ人の物語18 悪名高き皇帝たち(二)

エキセントリックな性格の人の内心は、小心者であることが多い。小心者は、他社の中に味方を開拓しようとするよりも、、味方とはっきりしている者で自分の周囲を固めたがる。そしてこのような性格の人にとっての見方は、血縁者であることが特徴だ。 (132…

ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち(一)

ローマの皇帝に正式に就任するには、前任者が指名しただけでは充分ではない。元老院とローマ市民双方の、承認を必要としたのである。 (38ページ)「平和」とは、外敵からの防衛だけで実現できるものではない。人々が安全な日常を過ごせてこそ、真の「平和…

テニスメモ・サーブ

スクールでサーブ&ボレーの練習。 トスを前に。 ボールの上や右上を、前方、前(上)に向けて触っていく。 ボールとラケットが触っている間に、手首が上に上がる感覚。 リストの使い方が上から下にボールを叩きつけるのではなく、ボールをヒットしながら手…

ローマ人の物語16 パクス・ロマーナ(下)

統治も、街道に似ている。不断のメンテナンスが不可欠と考える認識力と、認識するやただちに修正するのをいとわない柔軟な行動力と、それを可能にする経済力のうちの一つが書けても、機能しなくなる (20ページ)政治とは、小林秀雄によれば、「ある職業で…

ローマ人の物語15 パクス・ロマーナ(中)

紀元前一世紀末のローマでは、少子傾向が顕著になったのだ。前二世紀までのローマの指導者階級では、グラックス兄弟の母コルネリアのように、十人もの子を産み育てるのは珍しくなかった。それが、カエサルの時代には二、三人が普通になる。アウグストゥスの…

ローマ人の物語14 パクス・ロマーナ(上)

オクタヴィアヌスは、手段ではちがっても目的では、完全にカエサルと考えを一にしていた。国家ローマは、領土拡張の時代から領土維持の時代に入ったとする認識である。 (25ページ)何ごとであれ新しいことをはじめる場合の基本姿勢は、現状の正確な把握に…

ローマ人の物語13 ユリウス・カエサル ルビコン以後(下)

「人間ならば誰にでも、すべてが見えるわけではない。多くの人は、自分が見たいと欲する現実しか見ていない」 (38ページ)高級将校の四人には裏切られたカエサルも、中堅から下の兵士たちの忠誠心ならば絶対であったのだ。・・・彼等は、カエサルを信頼し…

ローマ人の物語12 ユリウス・カエサル ルビコン以後(中)

支持者のほうが、主唱者より過激化するものである。 (38ページ)(第十軍団のストライキを「退役を許す」という一言で意気消沈させたカエサルのエピソードを古代の史家たちが)「カエサルは、ただの一語で兵士たちの気分を逆転させた」 (43ページ)キ…

ローマ人の物語11 ユリウス・カエサル ルビコン以後(上)

人は、全幅の信頼を寄せてではないにしろ、他人にまかせなければならないときがある。そのような場合の心がまえは、まずはやらせてみる、しかない。 (66ページ)何ものにもましてわたしが自分自身に課しているのは、自らの考えに忠実に生きることである。…

ローマ人の物語10 ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)

カエサル個人の辞書には、復讐という言葉はない。復讐とは、彼にすれば、復讐に燃える側もその対象にされる側も、同じ水準にいなければ成立不可能な感情なのである。しかし、兵士たちならば、同輩九千の死に復讐心を燃やすのこそ当然なのだ。ただし、それを…

ローマ人の物語9 ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)

野心とは、何かをやりとげたいと思う意志であり、虚栄とは、人々から良く思われたいという願望である。 (19ページ)文章を表現手段に選んだ者は、自分が書くことの理解が所詮は読む人次第であるのは知っている。 (74ページ)敵地で闘う総司令官にとっ…

ローマ人の物語8 ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)

イタリアの普通高校で使われている、歴史の教科書 「指導者に求められる資質は、次の五つである。 知性。説得力。肉体上の耐久力。自己制御の能力。持続する意志。 カエサルだけが、このすべてを持っていた」 (前書き)「人間ならば誰にでも、現実のすべて…

ローマ人の物語7 勝者の混迷(下)

権力に執着しない潔い行為と、大衆が拍手喝采するのは勝手であり、それによる利益も少なくない。 理を理解する人が常にマイノリティである人間世界では、改革を定着させるにはしばしば、手段を選んではいられないからである。 (72〜73ページ)兵士たち…

ローマ人の物語6 勝者の混迷(上)

社会不安はしばしば、経済不安からはじまる。そして経済不安は、失業者の増加という形をとって姿をあらわす。 (40ページ)失業者とはただ単に、職を失ったがゆえに生活の手段を失った人々ではない。社会での自らの存在理由を失った人々なのだ。・・・多く…